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「サード」だけじゃない!リーバイス 557XX トラッカージャケットの知られざる進化と伝説

リーバイス 557XX (Type III) トラッカージャケットの歴史、デザイン、文化的重要性、そしてヴィンテージ市場での価値を徹底解説。

リーバイス デニムジャケット トラッカージャケット ヴィンテージ 557XX

by editorial

色褪せたインディゴデニムが屋外に吊り下げられている
Photo by Izzy Park on Unsplash

「サード」だけじゃない!リーバイス 557XX トラッカージャケットの知られざる進化と伝説

リーバイスのデニムジャケットは、単なるワークウェアを超え、アメリカンカジュアルの象徴として世界中で広く着用されてきました。その系譜において、一般に「サード」と呼ばれるType IIIモデル、すなわち557XXは、現代のトラッカージャケットの原型とも言える重要な位置を占めています。しかし、その登場までの道のり、そして細部に隠された進化は、あまり語られることがありません。本稿では、デニムの歴史家としての視点から、557XXの誕生、その構造、文化的な影響、そしてヴィンテージ市場における価値までを、深掘りしていきます。

1. はじめに — このアイテムが文化的に重要な理由

リーバイスのデニムジャケットは、その長い歴史の中で数々の変遷を経てきました。506XX(Type I)の登場から507XX(Type II)を経て、1962年に登場した557XX(Type III)は、現代の「トラッカージャケット」の原型とも言える存在です。その洗練されたデザインと機能性は、後の多くのデニムジャケットのデザインに影響を与え続けました。

2. 歴史的背景 — Type I (506XX) から Type II (507XX) への変遷

557XXの理解を深めるためには、その前身であるType IとType IIの存在が不可欠です。

  • Type I (506XX): 1905年頃に「Blouse」として登場しました。1928年には左胸に1つだけのフラップ付きポケット、ダブルプリーツ、そして背面にあるシンチバックといった特徴が確立されます。1936年には、ブランドの象徴となるレッドタブが初めて採用されました(Levi Strauss & Co. Archives)。第二次世界大戦中、1944年には物資不足から簡略化されたS506XX(WWII spec)が登場しましたが、シンチバックは維持されました(Heddels)。

  • Type II (507XX): 1953年に登場したType IIは、Type Iからの大きな転換点となりました。最大の変更点は、シンチバックが廃止され、代わりに両サイドにボタンアジャスターが採用されたことです(Levi Strauss & Co. Archives)。また、左右対称の2つの胸ポケット(フラップ付き)が特徴となり、プリーツのタックダウンはバータックに変更されました。このモデルは、わずか9年間(1953-1962)という比較的短い期間の生産でした。

20世紀半ばのデニムを着た工場労働者
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3. 構造の詳細 — 557XX (Type III) の誕生と特徴

1962年、557XX(Type III)が登場し、デニムジャケットのデザインに新たなスタンダードを確立しました。

  • デザインの進化: Type IIから引き継ぎつつ、いくつかの決定的な改良が施されています。最も特徴的なのは、胸ポケットのフラップがやや尖った「ポイントドポケット」になったこと、そして胸パネルのヨーク部分に特徴的なV字ステッチ(V-stitch)が採用されたことです(Heddels, Long John)。これにより、より洗練され、現代的なシルエットが強調されました。

  • シルエットとフィット感: Type IIIは、Type IIよりもスリムでテーラードなフィット感を持つようにデザインされました。これは、当時のファッションのトレンドが、より体にフィットするスタイルへと移行していたことを反映しています。

  • 素材と製法:

    • デニム生地: 557XXには、リーバイスのジーンズと同様に、おそらく「コーンミルズ(Cone Mills)」製の右綾(Right-Hand Twill, RHT)の13.5オンス程度のデニムが使用されていたと考えられます。このデニムは、その耐久性と経年変化の美しさで知られています。
    • 縫製とハードウェア:
      • プリーツ: Type IIのバータックから、Type IIIでは胸パネルのV字ステッチがデザインのアクセントとなっています。
      • ボタン: 特徴的なブランドロゴ入りのメタルシャンクボタンが使用されています。
      • リベット: 当初は露出したリベットが使用されていましたが、1967年のモデルチェンジ(70505への品番変更)の際に、露出していたリベットが除去されたという重要な変更点があります(Levi’s Official Statement)。これは、より洗練された装いを求める時代の流れを汲んだものと考えられます。
      • レッドタブ: 左胸ポケットに付くレッドタブは、この時期も健在でした。
  • セルヴィッジ: 557XXに採用されていたセルヴィッジ(赤耳)は、当時のデニム織機でしか生産できない希少なもので、ヴィンテージデニムの重要な要素の一つです。

4. 真贋・年代の見分け方(ビンテージ vs レプリカ)

ヴィンテージ市場における557XXの価値は、その希少性とオリジナリティに大きく依存します。真贋や年代を特定する際には、以下のディテールが重要な手がかりとなります。

  • 品番: 「557XX」は1962年から1967年頃までのモデルを指します。1967年以降は品番が「70505」に変更され、リベットの除去などのディテール変更が行われています。
  • リベットの有無: 1967年以前のモデル、すなわち557XXには、フロントポケット下などに露出したリベットが見られます。70505以降のモデルでは、これらが排除されています。
  • レッドタブ: 「Big E」と呼ばれる、文字の「E」が大きいロゴのレッドタブは、1971年以前のモデルの特徴です。
  • ボタン: ボタン裏の刻印や形状も、年代を特定する上で参考になります。
  • ステッチ: V字ステッチの形状や、その他の縫製糸の色なども、年代によって微妙な違いが見られることがあります。

レプリカモデルも数多く存在するため、これらのディテールを慎重に比較検討することが、本物のヴィンテージを見極める上で不可欠です。

5. 著名人・文化的な登場シーン

557XX(Type III)は、その完成されたデザインと機能性から、現代の「トラッカージャケット」の決定版として位置づけられています。1960年代、このジャケットは反骨精神や若者の自己表現の象徴として、映画、音楽、そしてストリートファッションにおいて幅広く着用されました。特定の著名人が着用した記録は、501XXほど顕著ではないものの、60年代のカウンターカルチャーを象徴するアイテムとして、その地位を確立しました。

レトロなアメリカンデニム文化の雰囲気
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6. 現在の入手先(ヴィンテージ市場・レプリカブランド)

557XXの生産期間はわずか5年間(1962-1967)であったため、ヴィンテージ市場では比較的希少なアイテムとして扱われています。特に、状態の良いオリジナル個体は高値で取引される傾向にあります。

  • ヴィンテージ市場:

    • 専門店: デニム専門の古着屋や、ヴィンテージウェアを扱うオンラインストアなどで探すことができます。状態やサイズによって価格は大きく変動します。
    • オークションサイト: 個人間取引が活発なオークションサイトでも出品が見られますが、状態の確認や出品者の信頼性に注意が必要です。
  • レプリカブランド:

    • リーバイス: リーバイス自身も、過去のモデルを忠実に再現したレプリカを復刻販売することがあります。「トラッカージャケット」の呼称で展開されるモデルの中には、Type IIIのデザインを踏襲したものが見られます。
    • その他ブランド: 多くのブランドが、557XXのデザインにインスパイアされたデニムジャケットをリリースしています。これらのブランドは、現代的なシルエットや素材感を取り入れている場合が多いです。

7. まとめ — 永遠のアイコン、Type III

リーバイス557XX(Type III)は、その短期間の生産にもかかわらず、デニムジャケットの歴史において極めて重要な位置を占めています。洗練されたデザイン、実用性、そして時代を超えて支持される普遍的なデザインは、今日でも多くのデニム愛好家に評価されています。このジャケットは単なる衣類ではなく、アメリカンワークウェアの進化と、それをファッションへと昇華させたリーバイスの創造性を象徴する、まさにアイコンです。507XX(Type II)からの進化、そして70505への橋渡しとして、557XXはデニムジャケットの進化の物語において、欠かすことのできない一章を担っているのです。

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